護國神社
護國神社の概要

【護國神社の歴史】
 各護國神社にはそれぞれ歴史がある。同時に靖國神社とともにいくつかの共通項もある。そのおおよその共通項は次の通りである。

 護國神社・靖國神社は明治の御代になってから創建されたものであるが、その信仰は古来日本人の宗教観、祖先観に根ざした伝統的習俗が基礎としてある。祖先や共同体に尽くした人々を神として祀り、同時にその神は子孫やその共同体を守って下さるという信仰がそれである。

 護國神社に限ると次の通りである。
① 幕末維新の戦役・国事に殉じた人々を出した各藩では招魂場を設け、その慰霊祭を行った。
② 殉国烈士の神霊を篤く祭祀すべきとの明治天皇の聖旨を奉戴し、やがて招魂社として固定する。
③ 明治7・8年内務省達により官費が支給されるようになり、「官祭招魂社」となる。
④ 「招魂社は之を護國神社と改称す。昭和14年4月1日施行(昭和13年内務省告示)に基づき、「護國神社」と改称され、内務大臣指定護國神社と指定外護國神社の2種に分類された。
 指定護國神社は府県社に相当する社格である。指定護國神社は1府県1社を原則としていたが、旧幕藩体制当時の藩領の区分・聯隊区等の関係で2社、3社ある県がある。
⑤ 大東亜戦争終戦後ミリタリー・シュラインとして占領軍の監視、攻撃を受け、存亡の危機に立たされた。
 「頌徳神社(千葉縣護國神社)」「櫻山神社(茨城縣護國神社)」の如く「護國神社」という社号さえ変更しなければならなかった苦難の時代を持つ。
⑥ 神職・遺族・崇敬者は必死の覚悟で御社を守り、占領解除後社号は「護國神社」と復称し、国民、県民の崇敬は拡まって行った。
 制度上は靖國神社同様「宗教法人」となり国家・公共の手を離れたが、内実は国家の祭祀、公共の祭祀が斎行されている。

【護國神社の招魂祭祀】
 各護國神社はそれぞれで招魂祭祀しており、靖國神社の分霊ということでは決してない。日本人の神霊観、宗教観では神霊は一つではなく、同じ戦没者の神霊が靖國神社、護國神社、家庭の神棚、祖霊舎と幾つも存在する。

【自衛官合祀】
 招魂合祀は各護國神社独自で斎行しており、自衛官・警察官・消防官などの公務殉職者を合祀している護國神社もある。
【護國神社の祭典】
 英霊奉慰顕彰の祭典が中心であるが、英霊の願いは国家が平和であり、国民県民が幸せであることであるから、祈念祭(作物の豊穣を祈る)新嘗祭(作物の豊穣を感謝する)等の祭典、また初宮、七五三、合格祈願、厄祓、交通安全祈願等の祈願参拝も行っている。
【全國護國神社會】
 旧指定護國神社52社は「全國護國神社會」を組織している。起源は存亡の危機にあった昭和21年の「指定護國神社の宮司會」である。目的は「靖國神社及び全國の護國神社相互の連絡を緊密にし、祭神の奉斎、祭祀の厳修に万全を期すること」である。靖國神社・各護國神社は緊密な協力関係にあり、かつそれぞれが完全に独立している。

☆ (靖國神社編:「故郷の護国神社と靖國神社」から)
指定護國神社

 国家のために殉難した郷土出身者の御霊(英霊)を祀るための神社。原則として東京都を除く道府県に建立
 軍人だけでなく軍属、勤労動員で亡くなられた一般市民の方々など戦没者の御霊を御祭神として祀りしている神社です。
 また、大東亜戦争だけではなく、明治維新以降の事変、紛争、日清・日露戦争等における全ての戦没者が御祭神です。

 慶応4年5月、明治天皇のご命令により、京都の東山に「霊山官祭招魂社」(京都霊山護國神社の前身)が創建され、明治維新における勤皇派の志士や戊辰戦争での新政府軍の戦没者の招魂祭が行われことが護國神社(靖国神社を含め)の起源となります。
その後、全国各地に郷土出身戦没者の慰霊顕彰のため招魂社が創建されました。
 しかし、招魂社は正式な神社ではなく、その位置づけは曖昧でした。明治・大正・昭和と事変や戦争による戦没者が増え、全国の招魂社は昭和14年には百数十社が創建されました。
 昭和14年の「招魂社ノ創立ニ關スル件」で、一部の例外を除いて各道府県に1社のみ創立を許可することとし、同年4月1日に施行された「招魂社ヲ護國神社ト改称スルノ件」で招魂社を護國神社と改称、それまで曖昧だった神社としての制度を明確にしました。その護国神社が「内務省指定護國神社」で「村社」相当の格付けになりました。
 終戦後、GHQにより「神道指令」が発せられ国家との関係が断たれその存続が厳しい状況となりました。対日講和条約締結後、関係者の努力により現在のような立派な姿の神社となりました。

 護國神社は全国に52社あります。県によっては数個の護國神社のある県もあります。

 終戦時、神奈川縣護國神社、宮崎縣護國神社、熊本縣護國神社の3社は完成していませんでした。
 宮崎懸護國神社、熊本縣護國神社は戦後に創建されましたが、神奈川縣護國神社は創建されず跡地に横浜市戦没者慰霊塔が建てられ、別地に昭和27年、神奈川県戦没者慰霊堂を建立しました。本HPではこれを郷土の英霊を慰霊する趣旨から指定護國神社に含めて掲載しました。

☆ 護國神社の創建  (靖國神社編:「故郷の護国神社と靖國神社」所収:解説「靖国神社と護國神社について」大原康男より)

☆ 占領下の護國神社(靖國神社編:「故郷の護国神社と靖國神社」所収:解説「靖国神社と護國神社について」大原康男より)

☆ 指定護國神社一覧表

☆ 全國護國神社會の概要(「全國護國神社會五十年史」より)
指定外護國神社・招魂社

指定外の護國神社、招魂社が各市町村に多数存在し、その近傍の地域出身者で国家のために殉難した英霊を祀っている。

☆ 指定外護國神社神社・招魂社一覧表

英霊・軍人が祀られている神社
 
 国家のために軍人として御奉公された方を祀る神社、例えば乃木神社・東郷神社、あるいはかって英霊に関係した神社等がある。

☆ 英霊・軍人が祀られている神社一覧表

参考文献・資料
☆ 護國神社神社に関する本

☆ 護國神社神社に関するサイト
inserted by FC2 system