靖国神社の前身は「東京招魂社」といい、1869年(明治2年)6月に現在の地・九段坂上に創建された。
東京招魂社は、同年3月の東京遷都に伴い、明治天皇が戊辰戦争の戦役の慰霊と、新政府軍の士気高揚のために、造営を命じたものである。
政府は戦いで亡くなった人々の鎮魂祭を行うために創建を急いだ。このため最初の社殿は、10日足らずで仮本殿と拝殿、御供所が建立され、6月27日に竣工した。
第1回合祀は6月28日に行われ、戊辰戦争における新政府軍の戦死者3588名がご祭神として祀られた。
幕府軍の戦死者は「賊軍」として扱われたため、祀られなかった。
以降、東京招魂社即ち靖国神社は、国に尽くして命を失った人々のみを祀る神社となった。
戊辰戦争以降も各地で「佐賀の乱」「新風連の乱」「萩の乱」などの内戦が続き、年々、後祭神の数が増えていった。1877年の西南戦争では、政府軍の戦没者が6000名を超えた。これを機に、「社」を「神社」に格上げすることを決定した。
1879年(明治12年)6月4日、「靖国神社」と改称された。
*靖国神社改称までの経緯 |
明治元年5月 |
東山招魂社建立の太政官布告 |
明治2年3月 |
東京遷都 |
同 5月 |
戊辰戦争終結 |
同 6月 |
東京招魂社創建 |
同 |
戊辰戦争の殉難者を合祀 |
同 |
鎮座祭 |
明治4年5月 |
例大祭 |
明治5年4月 |
陸軍省・海軍省の管轄となる |
同 5月 |
本殿建立 |
明治7年1月 |
例大祭に明治天皇が初めて行幸 |
同 8月 |
佐賀の乱戦没者合祀 |
明治8年2月 |
台湾事件戦没者合祀 |
明治9年1月 |
朝鮮江華島事件戦没者合祀 |
明治10年1月 |
熊本神風連の乱、秋月の乱、萩の乱戦没者合祀 |
同 11月 |
西南の役戦没者合祀 |
同 |
臨時大祭に天皇行幸 |
明治11年11月 |
竹橋事件殉難者合祀 |
明治12年6月 |
靖国神社と改称 |
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